社会科や世界史の授業なんてつまらない。でも、漫画なら――。
過去に学校の勉強で挫折した方にも、いま勉強に苦しんでいる方にもおすすめな「世界史が学べる漫画」を4作品ご紹介します!
歴史はすべて「その時代の人間の生きざま」「血の通った物語」。素晴らしい先生方が、難しい歴史をエンターテイメント作品に仕上げてくださっています。
強さ、弱さ、狡猾さ、残酷さ、温かさなど、人間のすべてが詰まった作品ばかりです。
気になった作品があれば、ぜひご一読ください!
▶️動画でもご紹介しています!
キングダム
原泰久 青年漫画 歴史 世界史 中国史 アニメ化 映画化 春秋戦国 始皇帝 アクション 実在の人物 成り上がり 師弟 復讐 熱いストーリー基本情報
著者:原泰久
【作品名】キングダム
【漫画家】原泰久
【出版社】集英社
【連載誌】週刊ヤングジャンプ
【巻数】69巻(2023.11初旬時点)
【ステータス】連載中(2023.11初旬時点)
あらすじ
時は紀元前——。
引用元:https://www.s-manga.net/items/contents.html?isbn=4-08-877079-X
いまだ一度も統一されたことのない中国大陸は、500年の大戦争時代。苛烈な戦乱の世に生きる少年・信は、自らの腕で天下に名を成すことを目指す! !
映像化も大ヒット
実写映画も大ヒット中の『キングダム』。読んだり観たりはしていなくとも「名前は聞いたことある!」という方は多いのではないでしょうか。
アニメもあるよ!
私は最初アニメから入って見事にハマったため、
漫画を「大人買い」しました〜
映画も素晴らしく毎年夏の楽しみになっていますが、原作がとても長い『キングダム』。
原作の最後まで映画化というのは現実的ではないと思います。
監督や役者さんたちの寿命がいくらあっても足りんよ
そのためやはり原作漫画を読んで、「主人公・信」や「のちに始皇帝となる政」たちの物語を追っていただけたらと思います!
おすすめポイント
『キングダム』第1巻は、紀元前245年から始まります。
春秋戦国時代――韓・魏・趙・楚・燕・斉・秦などの国々が覇権を狙い、500年間にわたり戦争を繰り返していた時代です。
日本が「弥生時代」のころやね
主人公の信は、最も西にある『秦』という国で暮らす戦争孤児です。
集落の長に奴隷同然の扱いを受けながらも、幼馴染の漂とともに剣の腕を鍛えています。
彼らの夢は、いつか戦に出て武功を上げ「中華全土に響きわたる天下最強の大将軍」になることでした。
いつものように2人で修行をしていたある日のこと。
身なりのいい男が馬車で通りかかります。その男は漂に王宮で働くよう言います。
奴隷に近い身分の平民がいきなり王宮でなんて、なにかあるに決まってますよね。
あやしい……
身なりのいい男の正体は、若きの教育係・昌文君でした。
彼は王弟の反乱から秦王を救うため、王に瓜二つの漂を影武者として雇ったのです。
ひと月後、村に帰ってきた漂は大怪我を負っていました。そして、小さな地図を信に託し命を落としてしまうのです……。
第1巻から怒涛の展開です
地図で示された場所に信が向かうと、秦王・嬴政の姿がありました。
大切な幼なじみを利用した政に怒りを向ける信。
しかし政は「漂はすべてを分かった上で、『史に名を残す天下の大将軍』になるため危険を承知で引き受けた」と話します。
「里に帰って下僕を続ける」か「薄弱の王を助け過酷な戦いの道を進むか」か。
政に問われた信が選んだのはもちろん、後者でした。
漂と約束した「天下の大将軍」になるため、信は政と行動をともにすることを決めます。
秦王・嬴政は、第1巻の紀元前245年から24年後の紀元前221年に、中華統一果たし史上初の皇帝「始皇帝」となった人物です。
これは史実であり、物語の結末は決まっています。
しかし、それを知っているから余計に、政が自国すら制御できていなかった弱き王であったことが意外でした。
大将軍を目指す信はもちろん、王として成長していく政にも要注目です。
山民族の末裔である河了貂や伝説の刺客一族の羌瘣、信の目標となる王騎大将軍、山の民の王・楊端和など、魅力的なキャラクターがたくさん登場する『キングダム』。
熱いエンターテイメントでありながら古代中国史を学べる名作です!
著者:原泰久
ヴィンランド・サガ
幸村誠 青年漫画 歴史 世界史 ヨーロッパ史 アニメ化 11世紀 ヴァイキング 復讐 アクション 奴隷 開墾 シリアス 仲間 熱いストーリー基本情報
著者:幸村誠
【作品名】ヴィンランド・サガ
【漫画家】幸村誠
【出版社】講談社
【週刊誌】月刊アフタヌーン
【巻数】27巻(2023.11初旬時点)
【ステータス】連載中(2023.11初旬時点)
あらすじ
11世紀、北欧の地は、蛮族と恐れられたヴァイキングにより戦火にまみれていた。その中に、父親を殺され、復讐のため戦場を駆け抜けた少年・トルフィンがいた。彼は仇敵・アシェラッドを殺すために生き、生きるために戦った。だが、イングランド王位をめぐる争いの中でアシェラッドは不慮の死を遂げる。唯一の希望を失い、奴隷に身をやつしたトルフィンはそれでもなお安息と豊穣の地、ヴィンランドを思い描く。心休まる日はいつ訪れるのか。”本当の戦士”の物語が紡がれていく。
引用元:https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000029270
おすすめポイント
『ヴィンランド・サガ』もアニメ化をしています!
本作は、大きく分けて2部に分かれています。
第1部は、アニメの第1期にあたる1〜8巻。
主人公のトルフィンが、父親を殺したアシェラッドというヴァイキング集団の首領に復讐するために、戦士として生きる少年時代の物語。
「ヴァイキング」とは、ヴァイキング時代(800〜1050年)と呼ばれる約250年間に西ヨーロッパ沿海部を侵略した武装集団のこと。
第2部は、アニメの第2期以降にあたる8巻以降。
復讐相手を失い生きる意味をなくしたトルフィンが、「戦争も奴隷もない平和な国」を作るため、ヴィンランドを目指す成人後の物語。
「ヴィンランド」とは、北アメリカ大陸にあったとされるヴァイキングの入植地のひとつ。
タイトルにある「サガ」とは、物語という意味。つまり、『ヴィンランド・サガ』とは、「ヴィンランドの物語」という意味です。
タイトルから考えると、第1部が序章、第2部が本当に描きたかったことになるでしょうか。
第1部も序章と呼ぶには、濃厚すぎますが。11世紀のデンマーク王によるイングランド襲撃など、史実に基づいた展開で勉強にもなります。
ただ、あくまで中心は主人公・トルフィンの復讐。おもしろいのは間違いないけど、よくある復讐の話かなと思っていました。
「あら、これは特別かも?」と改めて『ヴィンランド・サガ』にハマったのは、第2部に入ってからです。
奴隷として農場で働くトルフィン。第1部までの、短剣を手に戦いに明け暮れていた姿は見る影もありません。
寝るたびに「自分が手にかけた人たちの怨霊」が夢に現れ、うなされつづけています。
しかし、同じ奴隷仲間のエイナルがやってきて徐々にトルフィンに変化が現れます。
彼に農業を教えてもらいながらこころを取り戻していくトルフィン。
そして、二度と人を傷つけない、暴力と決別し「本当の戦士になる」ことを誓います。
暴力に頼らない、本当の強さを手に入れようとするのです。
「武勇と富こそ男の価値」「戦わないやつは臆病者」という考えが当たり前のヴァイキング社会において、それがどんなに難しいことか。
「主人公最強!」「チート」「無敵」な漫画も読んでいてスカッとするため嫌いではありませんが、『ヴィンランド・サガ』第2部以降で描かれていく一見地味な戦い方を見守りたくなりました。
第1部で犯した人殺しの罪に苦しみながらも、「戦争も奴隷もない平和な国」を未開の地・ヴィングランドに作るため奮闘するトルフィンの物語をぜひご覧ください!
著者:幸村誠
チ。―地球の運動について―
魚豊 青年漫画 歴史 世界史 ヨーロッパ史 アニメ化 15世紀 地動説 キリスト教 迫害 価値観 拷問 天才 社会派 研究基本情報
著者:魚豊
【作品名】チ。―地球の運動について―
【漫画家】魚豊
【出版社】小学館
【週刊誌】ビッグコミックススピリッツ
【巻数】全8巻
【ステータス】完結済み
あらすじ
動かせ 歴史を 心を 運命を ――星を。
引用元:https://www.shogakukan.co.jp/books/09860778
舞台は15世紀のヨーロッパ。異端思想がガンガン火あぶりに処せられていた時代。主人公の神童・ラファウは飛び級で入学する予定の大学において、当時一番重要とされていた神学の専攻を皆に期待されていた。合理性を最も重んじるラファウにとってもそれは当然の選択であり、合理性に従っている限り世界は“チョロい”はずだった。しかし、ある日ラファウの元に現れた謎の男が研究していたのは、異端思想ド真ン中の「ある真理」だった――
命を捨てても曲げられない信念があるか? 世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか? アツい人間を描かせたら敵ナシの『ひゃくえむ。』魚豊が描く、歴史上最もアツい人々の物語!! ページを捲るたび血が沸き立つのを感じるはず。面白い漫画を読む喜びに打ち震えろ!!
おすすめポイント
2022年に全8巻で完結した『チ。―地球の運動について―』ですが、2023年6月にアニメ化することが発表されました!
放送開始日などの情報はまだ出ていませんが、楽しみですね。
本作は、15世紀のヨーロッパを舞台に、異端思想である「地動説」を命がけで研究する人々の物語です。
ただ、実際の歴史では「地動説に対するキリスト教の迫害」というものはなかったそうで、最終章以外、ポーランドを「P国」、キリスト教を「C教」と記していたり、本作は「フィクション性」が強い作品です。
地動説を唱えた「コペルニクス」も
聖職者の位階を与えられていたりなど、
むしろ教会と密接に関わっていたよ
フィクションといえど、科学が盛んになり「神がすべて」という宗教の絶対性が薄れてきた中世ヨーロッパの雰囲気が見事に描かれています。
それに、歴史は勝者や権力者たちの物語。歴史の闇に葬り去られたモノがないとも限りません。
本作の特徴として挙げられる1つは、主人公がどんどん変わっていくことでしょうか。
激しい迫害や異端裁判により、倒れていく主人公たち。
しかし「地動説」の研究は脈々と受け継がれていきます。
心なかばで倒れてしまっても、自分の意志を誰かに託し、次の世代に受け継がれ、そしていつか花開いてくれたら。
「人はなぜ生きているのか」
その問いに対するヒントを与えてくれるような作品だと感じました。
本作では度々、目がドアップで描かれるのですが、天を見上げ輝く人々の目が美しいのです。
白黒でも吸い込まれそうなほど美しいのですから、アニメでカラーになった時はどうなるのだろうとワクワクしています!
タイトルの『チ。』には、以下3つの意味があるそうです。
先に「知性と暴力」をテーマにした漫画を描くことを決めており、その後「地動説」という題材を見つけて「タイトルは『チ。』」しかない! となったそう。
大地は動いている。血を流すことも厭わず、知を求めつづけた人々の生きざまをぜひご覧ください!
著者:魚豊
ヒストリエ
岩明均 青年漫画 歴史 世界史 ヨーロッパ史 古代ギリシャ 書記官 エウメネス アレクサンドロス大王 マケドニア 実在の人物 アリストテレス 知力 天才 主従基本情報
著者:岩明均
【作品名】ヒストリエ
【漫画家】岩明均
【出版社】講談社
【週刊誌】月刊アフタヌーン
【巻数】12巻(2024.7月時点)
【ステータス】休載中(2024.7月時点)
あらすじ
引用元:https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000030267
『寄生獣』で世を震撼させた岩明均氏が漫画家としてデビューする前から温めていた物語、それがこの『ヒストリエ』。舞台は紀元前、後にアレキサンダー大王の書記官となるエウメネスの波乱に満ちた生涯を描いた歴史大作です。蛮族スキタイの出身でありながらそれを知らず、都市国家カルディアでギリシア人養父母に育てられたエウメネスは、そのおかげでギリシア的教養を身につけることとなる。ある日養父がスキタイ人に殺され、自分の出自を知ったエウメネスは奴隷の身分に落とされてしまう。それが彼の波乱の旅の始まりだったのです。
おすすめポイント
岩明均先生は、『寄生獣』を書いたことで知られている漫画家さんです!
著者:岩明均
そんな先生がデビュー前から温めていたのが本作『ヒストリエ』です。
『ヒストリエ』第1巻は、紀元前343年から始まります。
『キングダム』の100年ほど前のお話やね
舞台は、古代ギリシア。
アレクサンドロス大王(アレクサンダー大王)はご存知でしょうか?
本作は、マケドニア王国のアレクサンドロス大王に仕えた書記官・エウメネスの一生を描いた物語です。
アレクサンドロス大王をはじめ、哲学者のアリストテレスやマケドニア王国の国王・フィリッポス2世など、歴史上の人物が多数登場する本作。
世界史の授業ではあれだけ頭に入らなかったカタカナの名前が、漫画になったとたん覚えられるのはなぜでしょうか。
主人公・エウメネスは、豊かな教養を持った飄々とした青年です。
幼いころから神童と言われていました。運動神経も高く、手先も器用。
いうことなし、チート級の能力を持っていますが、その出自が「スキタイ人」だったということで、一度奴隷身分に墜ちてしまいます。
「エウメネスがスキタイ人の奴隷だった」
という設定は本作の創作だそう
しかし、その高い能力から這い上がり、ついにアレクサンドロス大王の書記官にまで上りつめるのです。
2019年に第11巻が発売されて以来、休載が続いている本作。
なんとか完結していただきたいが、中途半端に終わってほしくもないというジレンマ。
「続きを待ちたくない!」という方にはオススメしづらい本作ですが、1〜11巻まででも十分、古代ギリシアのことを知ることができますし、彼らの生きざまがおもしろいため、ぜひご一読ください!
著者:岩明均
まとめ
最後まで、ご覧いただきありがとうございます!
他にも、漫画や小説をご紹介しておりますので、あわせてご覧ください。
また、YouTubeでも、書籍の紹介などをおこなっています。
フリーアトリエ晴星(YouTubeチャンネル)
いちど、ご視聴いただけると嬉しいです☺️