書籍情報
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あらすじ
動かせ 歴史を 心を 運命を ーー星を。
舞台は15世紀のヨーロッパ。異端思想がガンガン火あぶりに処せられていた時代。主人公の神童・ラファウは飛び級で入学する予定の大学において、当時一番重要とされていた神学の専攻を皆に期待されていた。合理性を最も重んじるラファウにとってもそれは当然の選択であり、合理性に従っている限り世界は“チョロい”はずだった。しかし、ある日ラファウの元に現れた謎の男が研究していたのは、異端思想ド真ン中の「ある真理」だったーー
命を捨てても曲げられない信念があるか? 世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか?
アツい人間を描かせたら敵ナシの『ひゃくえむ。』魚豊が描く、歴史上最もアツい人々の物語!!
ページを捲るたび血が沸き立つのを感じるはず。面白い漫画を読む喜びに打ち震えろ!!
オススメポイント
漫画は2022年に完結しましたが、その後、2024年にアニメ化しました。
オススメポイント1:主人公がどんどん変わる独特な構造
本作では「地動説」を唱えた者たちが、異端審問により次々と処刑されていきます。しかし彼らの意志は、まるで松明のように次の世代へと受け継がれていくんよね。
ある研究者が命を落としても、その次の世代が、命の危険を顧みず 地動説の研究を続けていく。
人生をかけて追い求めるべき「真実」とは何か?
「知」を未来へつなぐ意味とは何か?
といった疑問を、読者に問いかける構成になっています。
オススメポイント2:フィクションと史実の融合
実際の歴史では、「地動説」が異端思想という考え方や、「地動説」に対するキリスト教による迫害はなかったと言われています。「地動説」を唱えたコペルニクスも、聖職者の位階を与えられていたりと、むしろ教会と密接に関わっていた人でした。
本作では、最終章以外、ポーランドを「P国」、キリスト教を「C教」と記していて、他の世界史漫画に比べても、特に「フィクション性」が強い作品です。
だからあくまで創作、フィクションではあるんやけど、「神の創造した完璧な宇宙」という世界観から、 「観測と実験に基づく科学」へと移り変わる、中世ヨーロッパの激動の時代を、見事に表現しています。
それに、歴史は勝者や権力者たちの物語。史料が残っていないからといって、歴史の闇に葬り去られた過去がないとも限らんよね。
オススメポイント3:美しい表現力
作中で印象的なのは、登場人物たちの「目」の描写。夜空を見上げ、星々を観測する天文学者たちの瞳が、とても美しく描かれています。
白黒漫画なのに、その瞳から情熱が伝わってくるような、読者の心を揺さぶる迫力があるんよね。
オススメポイント4:タイトルの意味
タイトルの『チ。』には3つの意味が込められています。
先に「知性と暴力」をテーマにした漫画を描くことを決めていた魚豊先生。その後「地動説」という題材を見つけて、「タイトルは『チ。』」しかない!」となったそうです。
「大地は動いている」そう信じた人々が、血を流すことも厭わず、知を追い求め続けた物語。
読み終わった後、あなたもきっと夜空を見上げたくなる、そんな世界史漫画の傑作です。