前回(音楽理論#2)は「度数」についてご紹介しました。
「『ド=C』がわからない」「度数ってなに?」「『ドとミは長3度である』と言われても意味不明」という方は、過去の記事を合わせてご確認ください!
今回は、「度数で表すコードの構成音」について解説しています。以下の方に特にオススメです。
もちろん、上記に当てはまらない方も大歓迎!
それでは、続きをどうぞ!
まだ、TAB譜を見ていませんか?
ギターリスト、ベーシストの皆さん。まだ、TAB譜を見ていませんか?
はい、そこの「ぎくっ……」としたあなた! TAB譜はいち早く卒業しましょう。
なぜなら、「まったく音楽的ではないから」です。
TAB譜は「3限の3フレット」や「4限の9フレット」など、ギターやベース上のポジションしか示してくれません。もし、あなたが、キーボーディストやサックス奏者、トランペット奏者と一緒に演奏しようとした途端、コミュニケーションが取れなくなってしまいます。
3限3フレットの音を2拍伸ばして……
それって何の音? ド? レ?
フランス語を必死に勉強して話しかけてみたら、イタリア語が返ってきた、みたいな感じです。
ドレミもある種、記号でしかないのですが、みんなの頭の中に「ドはこんな音」「自分の楽器だとドはこうやって鳴らす」という共通認識があるため、TAB譜に書かれた数字を読み上げるよりは、相手に伝わります。
TAB譜の読み方を覚える時間を作るくらいなら、五線譜に慣れる時間にしたほうがええね
メジャーコード(Major chord)
では、メジャーコードからご紹介していきます。
コードの記法
以降、度数を以下のように表記していますので、あらかじめご了承ください。
度数 | 記法 | 例 |
完全〇度 | P〇 | 完全4度 → P4 |
長〇度 | M〇 | 長3度 → M3 |
短〇度 | m〇 | 短7度 → m7 |
メジャーコードの構成音
メジャーコードの構成音は、以下の通りです。
- 完全1度 – P1
- 長3度 – M3
- 完全5度 – P5
コードの音(Cメジャーコードであれば、C)からみた度数で、それぞれ表します。
コードの音は、ルート(根音)とも呼ばれるよ。ベースの人がよく弾いている音やね
メジャーコードの指板上における位置
では、このP1・M3・P5という関係は、指板上ではどこにあるのでしょうか。
私、ベース弾きやから、ベース寄りの解説になっちゃうけど許してなあ
Cメジャーコードを例に考えます。
ルートの音であるC(ド)は、ギターであれば5弦3フレット、ベースであれば3弦3フレットにあります。
ギターやベースの指板は、ピアノの白鍵と黒鍵を1直線上に並べたものと考えればいいので、1フレット上は、半音上の音になります。そのため、順番に1フレットずつ上がっていくと、M3のE(ミ)も、P5のG(ソ)も、すぐに見つけることができます。
ただし――。
上の画像で見るとわかりにくいですが、実際の指板上では、3フレットと10フレットはかなり離れています。
うでを大きく動かさないと、届かないよ
そのため、別のところに「ミ」や「ソ」はないのかな? と探しにいきます。
高い弦に目を向けると……ありました。下記のポジションであれば、4フレット内に「ドミソ」が収まっているため、ポジション移動をすることなくコードの構成音を弾くことができます。
他にもないかな、探してみると大量にあります!
ピンク色の箇所は、ギターでもベースでも弾けるポジションです。
黄緑色の箇所は、ギターでなければ弾けません。
洗い出してみると、コードの形のパターンが見えてきました。
メジャーコードのコードの形は、以下の2つです。
ドをいちばん低い音とした時のコードの形です。
「ミソド」や「ソドミ」といった転回形では、形が変わります。
この形さえ指に覚え込ませれば、指板上でルートの音を見つけるだけで、コードの構成音がすべて分かるようになります!
【コラム】ギター/ベースのチューニングの度数
上記のメジャーコードの形では、2種類の三角形が出てきました。なぜ、2種類あるのでしょうか。
それは、ギターやベースのチューニングしている音が関係しています。
通常、以下の表の通りチューニングします。
ギター | 6弦 | 5弦 | 4弦 | 3弦 | 2弦 | 1弦 |
音 | E | A | D | G | B | E |
ベース | 4弦 | 3弦 | 2弦 | 1弦 |
音 | E | A | D | G |
このチューニングした音が、各弦の開放弦となります。
開放弦とは、どこのフレットもおさえずに弦を弾いた時になる音のことだよ
ギターの2弦と3弦の開放弦に着目してみましょう。
他の開放弦同士がすべて完全4度の関係になっているのに対し、ここだけは長3度の関係になっています。
そのため、ギターの2弦と3弦を使ってドレミを弾こうとした時だけ、黄緑色の直角三角形になるのです。これは、以降で説明する他のコードにも関係してきます。
「ギターの2弦と3弦の度数だけトリッキー」と覚えておきましょう。
マイナーコード(Minor chord)
マイナーコードの構成音と指板上における位置についてです。
マイナーコードの構成音
マイナーコードの構成音は、以下の通りです。
- 完全1度 – P1
- 短3度 – m3
- 完全5度 – P5
マイナーコードの指板上における位置
ピンク色の箇所は、ギターでもベースでも弾けるポジションです。
黄緑色の箇所は、ギターでなければ弾けません。
マイナーコードのコードの形は、以下の2つです。
メジャーセブンスコード(Major 7th chord)
メジャーセブンスコードの構成音と指板上における位置についてです。
メジャーセブンスコードの構成音
メジャーセブンスコードの構成音は、以下の通りです。
- 完全1度 – P1
- 長3度 – M3
- 完全5度 – P5
- 長7度 – M7
トライアド(三和音)の場合は、マイナーコードに「m」を明示的に記載していましたが、7thの場合は、長7度(メジャーセブンス)に「maj」や「M」「△」を書きます。
わかりにくいけど、頑張って覚えよう!
メジャーセブンスコードには、さまざまな記法があります。Cmaj7、CM7、C△7はどれも同じコードのことを示しています。
メジャーセブンスコードの指板上における位置
ピンク色の箇所は、ギターでもベースでも弾けるポジションです。
黄緑色の箇所は、ギターでなければ弾けません。
メジャーセブンスコードのコードの形は、以下の3つです。
7thの音が増え、ギターの2〜4限にまたがるようになったため、形のパターンが増えています。とりあえず、ピンク色の形さえ覚えれば、ルートの音からコードの構成音を導き出せるようになります。
セブンスコード(7th chord)
セブンスコードの構成音と指板上における位置についてです。
セブンスコードの構成音
セブンスコードの構成音は、以下の通りです。
- 完全1度 – P1
- 長3度 – M3
- 完全5度 – P5
- 短7度 – m7
セブンスコードの指板上における位置
ピンク色の箇所は、ギターでもベースでも弾けるポジションです。
黄緑色の箇所は、ギターでなければ弾けません。
セブンスコードのコードの形は、以下の3つです。
マイナーセブンスコード(Minor 7th chord)
マイナーセブンスコードの構成音と指板上における位置についてです。
マイナーセブンスコードの構成音
マイナーセブンスコードの構成音は、以下の通りです。
- 完全1度 – P1
- 短3度 – m3
- 完全5度 – P5
- 短7度 – m7
マイナーセブンスコードの指板上における位置
ピンク色の箇所は、ギターでもベースでも弾けるポジションです。
黄緑色の箇所は、ギターでなければ弾けません。
マイナーセブンスコードのコードの形は、以下の3つです。
マイナーメジャーセブンスコード(Minor Major 7th chord)
マイナーメジャーセブンスコードの構成音と指板上における位置についてです。
マイナーメジャーセブンスコードの構成音
マイナーメジャーセブンスコードの構成音は、以下の通りです。
- 完全1度 – P1
- 短3度 – m3
- 完全5度 – P5
- 長7度 – M7
マイナーメジャーセブンスコードには、さまざまな記法があります。CmM7、Cm△7はどちらも同じコードのことを示しています。
マイナーメジャーセブンスコードの指板上における位置
ピンク色の箇所は、ギターでもベースでも弾けるポジションです。
黄緑色の箇所は、ギターでなければ弾けません。
マイナーメジャーセブンスコードのコードの形は、以下の3つです。
まとめ
最後まで、ご覧いただきありがとうございます!
コードの構成音について、理解が深まったでしょうか。
今回ご紹介したコードの形は、あくまでルートからコードの構成音を求める際に使用するものです。
実際にコードを弾く場合は、同じ弦で2音押さえることはできませんので、コードの形は変わってくるでしょう。
また、「ミソド」や「ソドミ」といった転回形でも、コードの形が変わります。
どこのポジションで、どのように音の積み重ねてコードを弾くか(Voicing)については、ギターリストやピアニストの人がこだわっているところかと思います。
ぜひ、コードの構成音を覚えたら、Voicingについても研究してみてください!
他にも音楽理論の記事がございます。よろしければ、あわせてご覧ください!
また、YouTubeでも、音楽理論の解説などをおこなっています。
フリーアトリエ晴星(YouTubeチャンネル)
いちど、ご視聴いただけると嬉しいです☺️