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映画の感想

【映画】『ブラック・ショーマン』を観た感想|原作との違いとモヤモヤの理由

サムネイル_映画の感想_ブラック・ショーマン 映画の感想
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映画『ブラック・ショーマン』

東野圭吾原作、福山雅治・有村架純主演のミステリー映画。豪華キャストと美しいロケ地が魅力的な一方、原作の核となる「コロナ」要素の欠如により、物語の必然性が薄れてしまった印象。良かった点と物足りなかった点を正直にレビューします。

▶️動画でもご紹介しています!

今回紹介する作品は?

こんにちは! 晴星(せい)です。

先日、映画『ブラック・ショーマン』を観てきました!

東野圭吾先生原作、福山雅治さん主演の話題のミステリー映画です。

正直に言うと、観終わった後、私はちょっとモヤモヤした気持ちになりました……。

この記事では、映画の良かった点と物足りなく感じた点をまずお話しして、その後で、映画にモヤモヤを感じた方に向けて、原作小説を読んでほしい理由をお伝えできればと思います。

原作には、映画では描かれなかった、この物語の本当の魅力がたくさんあります。ぜひ最後までお読みください!

ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人

ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人

著者:東野圭吾

出版社:光文社

備考:ブラック・ショーマンシリーズ1作目

東野圭吾先生の作品一覧

映画化

原作小説『国宝』について

▶️原作小説を読んだ感想も、動画でご紹介しています!

映画の基本情報

  • 公開日:2025年9月12日(金)
  • 監督:田中亮
  • 脚本:橋本夏
  • 配給:東宝
  • 原作:東野圭吾『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』(光文社文庫)
  • 主演:福山雅治(神尾武史役)、有村架純(神尾真世役)
  • 出演:成田凌、生田絵梨花、木村昴、森永悠希、秋山寛貴(ハナコ)、犬飼貴丈、岡崎紗絵、森崎ウィン、丸山智己、濱田マリ、伊藤淳史、生瀬勝久、仲村トオル ほか
  • ロケ地:岐阜県郡上市八幡町(郡上八幡)
  • 上映時間:127分

映画の3つの魅力ポイント

  • 福山雅治・有村架純をはじめとする完璧な配役と実力派キャスト
  • 郡上八幡の美しい景色と秋の紅葉が映える映像美
  • 劇中漫画「幻脳ラビリンス」が実際に見られる

こんな人におすすめ

  • 福山雅治・有村架純のファン – 豪華キャストの共演が楽しめます
  • 東野圭吾作品が好きな人 – 原作の雰囲気は一定程度保たれています
  • マジックに興味がある人 – 福山さんの本格的なマジックシーンが見られます
  • 美しいロケ地を楽しみたい人 – 郡上八幡の紅葉と町並みが美しい
  • 軽めのミステリーを楽しみたい人 – 2時間でサクッと観られます

こんな人には向かないかも……

  • 原作の世界観を大切にしたい人
  • じっくりと謎解きを楽しみたい人
  • コロナ禍という時代背景を重視する人
ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人

ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人

著者:東野圭吾

出版社:光文社

備考:ブラック・ショーマンシリーズ1作目

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※以降は、ネタバレありの感想を書いております。未視聴の方でお話の内容を知りたくないという方は、こちらでUターンをお願いいたします!

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映画の良かったポイント

配役が完璧

福山雅治さんの神尾武史と有村架純さんの真世。この2人の組み合わせが本当にピッタリでした!

福山さんは4ヶ月以上にわたるマジックの特訓をされたそうで、コインロールやパームというマジックの技術を予想以上の速さでマスターされたそうです。

武史の悪い人なんだか、良い人なんだかわからない、微妙な立ち回りが再現されていたと感じました。

有村架純さんも、父親を失った娘の複雑な心境を丁寧に演じられていて、真世の感情が伝わってきました。

また、私が特に印象的だったのは、真世の中学生時代を演じられていた稲垣来泉さんです。

声がかわいいな、と思ったのと、中学生らしい純朴さがハマっていました。

子役さんたちでいうと、釘宮役の柊木陽太さんや、津久見役の西浦心乃助さんも良かったですね。

本当に、役者さんは全員実力派揃いで、豪華だなあと感じました。

クライマックスのセリフ

前回の原作小説の感想動画で話したのですが、犯人の動機について私は、「秘密にしてくれ」と言えば、英一は渋々ながらも頷いただろうに、と思っていたんですよね。

その気持ちを代弁するように、クライマックスの教室のシーンで真世が

「そんなことも分からなかった!?」

と叫んでくれました。

原作にはなかったこのセリフが、トン……と胸に響きました。

ロケ地の美しさ

ロケ地は、岐阜県郡上市八幡町(通称:郡上八幡)でした。

夏の30日以上続く盆踊り「郡上おどり」でも有名な場所だそうですが、ご存じでしょうか?

「奥美濃の小京都」と呼ばれるだけあって、秋の紅葉と町並みが映像映えしていました。

原作小説では「幻ラビに頼らなくても、この町はきっと前を向いていける」と明るい見通しで終わりますが、その設定に適した美しい景色だと感じました。

劇中漫画「幻脳ラビリンス」

原作小説では私の中の空想でしかなかった釘宮の漫画「幻脳ラビリンス」の絵が、実際に見られたことが嬉しかったです。

凸ノ高秀さんという実在の漫画家さんによって描かれた絵は最高でした!

一瞬、主人公の零文字アズマが私の想像より若くて「あれ?」となったのですが、「少年漫画なんだから、そのくらいの年齢か」とすぐに納得できました。

凸ノ高秀さんが作画を担当している「she is beautiful」という漫画がおもしろそうで気になっています。

物足りなく感じたポイント

今まででお話ししたように、良かった点ももちろんあったのですが、それ以上に観終わった後、物足りなさが胸に残りました。

どんな点が物足りなく感じたのか、一つずつお話ししていきます!

ただ一点! 先にお伝えしておきたいのが、決して関係者の方々を貶める気持ちはないということです!

たくさんの関係者の方がいて、大変な苦労を重ねて公開日を迎えたことは、容易に想像ができます。

ただ個人的な、原作を読んでいたからこそ感じた、イチ視聴者のイチ意見として聞いていただければ幸いです。

コロナ要素の欠如

原作では、2021年3月という設定で、コロナ禍の状況が物語の重要な背景になっていました。

最大の要素と言い切っていいほどです。

観光業の打撃、テレワークによる生活の変化、移動制限……そうした社会情勢が、登場人物たちの状況や行動に深く関わっていたんです。

映画では、2025年に物語の舞台が移ったことで、物語の核となる「コロナ」の要素がほとんどカットされ、結果として、ただの軽いエンターテインメント作品になってしまっていました。

容疑者の多さの必然性がない

容疑者がたくさん登場する本作。映画の予告映像でも「全員が嘘をついている!?」という大胆なナレーションがついていました。

しかし、映画を観ただけでは、こんなに容疑者がいる理由が伝わってきませんでした。

原作では、ちゃんと一人一人に役割があったのですが、「コロナ」という核を抜いてしまったことで、役割のない登場人物がたくさん生まれてしまった印象です……。

原作小説における登場人物一人一人の役割については、「原作小説を読んでほしい理由」のパートでお話ししますね。

展開が急すぎる

映画の脚本は大きく分けて3つの要素でできていると言われています。

今回の映画では、

  • メインプロット – 父親殺しの犯人当て
  • サブプロット1 – 真世と婚約者の関係
  • サブプロット2 – 犯人のエピソード

があったと思います。

ただ、それぞれが駆け足に感じられました。

もちろん全て原作小説の中の重要な要素なのですが、それを2時間の映画におさめるのは少々無理があったように思いました。

「犯人のエピソード」については、原作者の東野先生から、

「犯人が誰かというミスディレクションに時間を割くよりは、犯行に至った経緯や犯人の心情をきちんと描いてほしい」

という要望があったそうです。

映画全体の構成の中で、犯人のエピソードがやけに長いなと感じたのですが、パンフレットを読んで納得しました。

ただ、もう一つの「真世と婚約者の関係」を入れる必要があったのかは疑問です。この要素が途中に挟まることで、「父親殺しの犯人当て」の流れが切れているように感じられました。

原作の重要な要素ではあるものの、じっくり描ける小説から2時間におさめなければならない映画になった時に、思い切ってカットし、その分、他の要素を深掘りしても良かったのかなと、素人ながらに考えてしまいました。

役者は素晴らしいがドラマ向き

福山さん、有村さんはもちろん、仲村トオルさん、成田凌さん、生瀬勝久さん、木村昆さん……実力派の役者さんばかりで、みなさん本当に良い演技をされていました。

しかしながら、「TVドラマ、もしくは、配信ドラマとして観れば満足できたかも」というのが正直な感想です。

以前、綾辻行人先生の『十角館の殺人』がHuluオリジナルで映像化していましたが、あれは約45分のエピソードが5つあり、4時間で完結していたんですよね。

あのくらいの分量があれば、満足できたかもしれませんが、映画として、2時間の間に観客を引き込んで、心を大きく動かすような訴えかける力は、ちょっと薄かったかなと感じました。

冒頭マジックのインパクト不足

映画の冒頭に、福山さん演じる武史が昔、ラスベガスでおこなっていたマジックショーの映像がありましたね。

ただ、この冒頭のマジックで私はあまり引き込まれませんでした。

これは映像作品とマジックの相性の問題だと思うんですが、映像作品だといくらでも映像をカットして繋げられますよね?

だから、舞台で生のマジックを観た時のような「すごい!」という感動がなかったんです。

製作陣の方々が「一番大変だった」とおっしゃっていましたが、その苦労に見合う映像的なインパクトが少し足りなかった気がします。

原作小説を読んでほしい理由

さて、ここまで映画の物足りなさをお話ししてきました。

この物足りなさを解消してくれるのが、原作小説です!

映画と原作小説の違いも踏まえながら、原作小説を読んでほしい理由をお話ししていきます。

コロナ禍の丁寧な描写

映画では物語の核となる「コロナ」という要素が無くなっていたとお話ししました。

原作では、2021年3月という具体的な時代設定で、 私たちが実際に体験したコロナ禍の現実がリアルに再現されています。

読めば当時のことが思い出せる「コロナの歴史書」になっているんです。

真世の親友・桃子

例えば、真世の親友である桃子

彼女は原作では、「コロナが原因で勤めていた会社が倒産。さらに、夫がテレワークになったことが原因で夫との関係が悪化した人」でした。

コロナで失業をした人、家族がテレワークになったことで家で気を遣わなければならなくなり、神経をすり減らした人はたくさんいらっしゃったと思います。

そういう読者が共感できるキャラクターが桃子でした。

しかし、映画では単に「夫とうまくいかなくなり、別居している人」になってしまっていました。

被害者が東京で会っていたのが桃子の夫だったため、登場させざるを得なかったという事情もわかりますが、映画では何のために存在しているか曖昧になっていたことが残念でした。

酒屋の原口

他にも、酒屋の原口は、「コロナにより居酒屋が休業もしくは時短営業。酒の注文も減り、商売が苦しくなった人」です。

このように容疑者が多いのにも、原作ではちゃんとした必然性があったんですよね。

でも映画では、その背景事情が省かれてしまったから、単に「怪しい人がたくさんいる」という印象になってしまいました。

建設会社副社長である柏木

コロナ関連でいうと唯一、建設会社副社長である柏木の、「コロナによって中止になった幻ラビ・ハウスの穴を埋めるために、躍起になっている人」という設定は原作と同じでしたね。

ただこれも、コロナ蔓延が始まった1年後の2021年が舞台だから成立する設定だと思うんですよね。

映画の2025年という「幻ラビ・ハウス建設中止」から5年も経ってなお、幻ラビだけに固執しているというのは違和感を覚えてしまいます。

映画の最大の欠点は……?

そう考えると、やはり映画の最大の欠点は、物語の時期を2021年から2025年に移したことのような……。

公開する年に合わせなきゃいけない理由が何かあったのでしょうか。

2025年公開だとしても、2021年のころを描いてもいい気がするのですが……。

マスクをしなければいけなくなるから、とかが理由なんかなあ。

他にも、お通夜や葬式に、真世と武史以外の親族が現れない理由として、原作では「コロナで他県の人が来ることは歓迎されないから遠慮してもらう」と語られています。

ちょっとしたことですが、映画を観ただけでは「あれ?」と違和感を抱くことが、原作小説ではきちんと語られているため、やはり映画でモヤモヤした方には、原作を読んでいただきたいです!

514ページvs2時間の問題

原作は514ページという長さがあったからこそ、たくさんの謎があっても一つ一つ丁寧に整理できていたんです。

でも映画では、その謎のほとんどを残そうとした結果、2時間という時間の中で消化しきれず、とっ散らかってしまった印象でした。

原作では「調査→情報の整理」という流れが何度も繰り返される構成で、武史と真世による調査パートと、武史の推理やマジックの種明かしのパートがとても丁寧に描かれています。

そうした中で、武史と真世が初めて出会った日のエピソードだったり、武史と被害者である兄とのストーリーが語られるから、どんどん登場人物たちが好きになっていきます。

また、映画では気がついたら犯人が一人に絞られているという感じでしたが、原作では読者も一緒に謎解きを楽しめる構成になっていました。

映画で犯人を知ってしまった分、ハラハラ感は薄れてしまうかもしれませんが、武史や真世のことをより深く知りたいという方は、小説がおすすめです。

より深い人物描写の違い

映画化にあたり、東野先生が「犯行に至った経緯や犯人の心情をきちんと描いてほしい」と要望を出した理由は、原作を読めばわかる気がします。

真世の初恋話として少しずつ語られてきた津久見くんとの話が、犯人が分かった時から別の意味を持ち始めました。

津久見くんのお見舞いに一緒に行ったことがある真世と釘宮。そんな過去を読者は知っているからこそ、そんな釘宮が真世の父を……って考えるとやるせない気持ちになります。

そして、物語の9割が進んだところで語られる釘宮視点のストーリー。

彼の動機だけはコロナに関係がない普遍的なものである、という設定が好きでしたが、一度手にした栄光を手放せず、取り返しのつかない過ちを犯してしまう人間の哀しさが伝わってきます。

このように小説では、より深く登場人物たちの心情を味わうことができます。

監督・西谷弘 について

西谷弘監督は、1961年生まれの映画監督・演出家です。

東宝を経て、フジテレビでディレクターとして活躍。『HERO』『ガリレオ』『踊る大捜査線』シリーズなど、数々のヒットドラマ・映画を手がけてきました。

エンターテインメント性と緻密な演出に定評があり、福山雅治主演作品も多く手掛けています。

原作者・東野圭吾 さんについて

東野圭吾さんは、1958年大阪府生まれの小説家です。大阪府立大学工学部電気工学科卒業後、1985年に『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞してデビューしました。

1999年に『秘密』で第52回日本推理作家協会賞、2006年に『容疑者Xの献身』で第134回直木賞と第6回本格ミステリ大賞をダブル受賞。その後も『流星の絆』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』『夢幻花』『祈りの幕が下りる時』など、数々の作品で文学賞を受賞し続けています。

ガリレオシリーズをはじめとする人気シリーズを多数執筆し、そのほとんどが映像化されるなど、日本を代表するミステリー作家として確固たる地位を築いています。

本作『ブラック・ショーマン』シリーズは、福山雅治さんとの対話から生まれた新たな探偵像で、東野ミステリーの新境地を切り開く作品となっています。

まとめ

映画『ブラック・ショーマン』は、確かに原作の魅力をすべて映像化することはできていなかったように感じます。

しかし、福山雅治さんと有村架純さんの魅力、美しいロケ地、派手なマジックの演出など、映画ならではの良さもたくさんありました。

福山雅治さんは神尾武史というキャラクターにぴったりだったため、次回はぜひ、映画ではなくドラマで観たいですね。

映画にモヤモヤを感じた方は、ぜひ原作小説『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』も読んでみてください!

皆さんの映画の感想も、ぜひコメント欄で教えてくださいね!

この記事を書いた人
駿河 晴星(Suruga Sei)

フリーアトリエ晴星へようこそ!
駿河 晴星(するが せい)と申します。

感興の赴くままに、小説や詩を執筆したり、YouTubeに動画を投稿したり、ベースを弾いたり、プログラミングをしたりしています。

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