書籍情報
・著者:安部公房
・出版社:新潮社
・受賞歴:第25回芥川龍之介賞
・あらすじ:
自分と他人が、もう一つ別の自分、別の他人に変容する。カフカ以上にカフカ的なグロテスクな世界ーー。芥川賞受賞。
ある朝、突然自分の名前を喪失してしまった男。以来彼は慣習に塗り固められた現実での存在権を失った。自らの帰属すべき場所を持たぬ彼の眼には、現実が奇怪な不条理の塊とうつる。他人との接触に支障を来たし、マネキン人形やラクダに奇妙な愛情を抱く。そして……。独特の寓意とユーモアで、孤独な人間の実存的体験を描き、その底に価値逆転の方向を探った野心作。(解説・佐々木基一)