書籍情報
あらすじ
資源も人材も兵力もない弱小国の政治を担う若き王子・ウェイン。補佐官を務める少女・ニニムとともに為政者として見事な手腕を発揮する彼には、密かな願いがあったーー。
「国売ってトンズラしてえええ!」そう、ウェインの願いとは、悠々自適の隠居生活を送る事だった!!
だがそんな思いを裏切るように、大陸東部を統べる帝国との駐留問題や、隣国からの宣戦布告など、目の前には次々と無理難題が降りかかる!!
さらに臣下や他国の思惑も入り乱れ、彼の計画は思いもよらない方向に!? 予想外だらけの弱小国家運営譚、ここに開幕!!
オススメポイント
原作はGA文庫発で、2022年にはアニメ化もされました。
オススメポイント1:主人公ウェインの二面性
表向きは名君として振る舞うウェインですが、その実態はめちゃめちゃ怠け者。「早く国売ってトンズラしたい」という不埒な願望を持つ彼ですが、その優秀さゆえに思い通りにならない展開が面白いです。
留学していた帝国の学校でも首席になるほどの頭脳の持ち主で、だからこそ、彼が「国を売るため」と称して行うことが、全て逆効果になって国力アップにつながっていく皮肉が描かれています。
また、普段はだらしない彼ですが、大切な人が傷つけられると本気で怒る一面も。
特に筆頭補佐官のニニムが「フラム人」という差別されがちな人種であることから、彼女が侮辱されると、普段の怠け者ぶりが嘘のように激怒するギャップが魅力的です。
私は『銀魂』の銀さんが大好きなので、こういう普段だらだらしてるけど、やる時はやる人に目がありません。
オススメポイント2:キャラクター同士の関係性
特にウェインと筆頭補佐官ニニムの関係が見どころ。二人は幼なじみで、ニニムはウェインの本性と国の窮状を 知る数少ない人物の一人。
ニニムは白い髪と赤い瞳を持つフラム人の美少女で、政務から戦闘まで幅広くウェインをサポートします。彼女は時に厳しく、時に優しくウェインを支え、彼の暴走を食い止める存在でもあります。
そして、ウェインの妹フラーニャがニニムを姉のように慕っていたり、帝国留学時代の友人ロウェルミナがウェインを手玉に取ろうとしたりと、キャラクター同士の絡みが本当に面白いです。
オススメポイント3:政治・外交・戦争の駆け引き
本作は単なるコメディではなく、国と国との外交や戦略、政治的な駆け引きが非常に緻密に描かれています。
ウェインが「国を売るため」と称して繰り出す策略や、それを見破ろうとする周辺国との駆け引き。知略と機転を駆使した展開は、まるで将棋や囲碁のような頭脳戦を見ているようで面白いです。
弱小国だからこそ、力ではなく知恵と機転で難局を乗り切っていく姿が痛快ですね。