書籍情報
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あらすじ
直木賞作家・永井路子氏の作品が遂に電子化!
時の権力者、関白・藤原兼家の三男坊の藤原道長は、機転が利きカリスマ的な存在感を放つ長兄の道隆や野心家である次兄の道兼に比し、平凡でおっとり、出世も遅々としていたが、姉である詮子の助力を得ながらも、左大臣の娘・倫子と結婚する。以来、徐々にではあるものの、道長にも運が向いてきて、姉・詮子、妻・倫子などの支援を受けながら出世街道を上りつめていく……。
表面的な華やかさに誤解されがちな人間・藤原道長の素顔を見事に浮かび上がらせた名作。
目次
男とは
首よりも
今宵来る人
深泥が淵
風の精
影絵
あしのうら
離洛帖
花と地獄の季節
後宮明暗
腥風の荒野
「一声ノ山鳥」
時の権力者、関白・藤原兼家の三男坊の藤原道長は、機転が利きカリスマ的な存在感を放つ長兄の道隆や野心家である次兄の道兼に比し、平凡でおっとり、出世も遅々としていたが、姉である詮子の助力を得ながらも、左大臣の娘・倫子と結婚する。以来、徐々にではあるものの、道長にも運が向いてきて、姉・詮子、妻・倫子などの支援を受けながら出世街道を上りつめていく……。
表面的な華やかさに誤解されがちな人間・藤原道長の素顔を見事に浮かび上がらせた名作。
目次
男とは
首よりも
今宵来る人
深泥が淵
風の精
影絵
あしのうら
離洛帖
花と地獄の季節
後宮明暗
腥風の荒野
「一声ノ山鳥」
オススメポイント
本作『この世をば』は、
「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも 無しと思へば」
という和歌を詠んだことで知られる、藤原道長の生涯を描いた歴史小説です。
著者は、『炎環』で第52回直木三十五賞を受賞した永井路子先生。
和歌の影響から傲慢と思われがちな道長を、「ただ運が良かっただけの平凡児」として描きました。
作中の道長はおっとりした性格で、2024年大河ドラマ「光る君へ」で描かれている道長も本作に近いように感じます。
道長は、父・兼家と正妻との間に生まれた三男坊。二人の兄や、天皇の子を産み国母となった姉と違って、出世欲もなく、ただ流されるように生きている青年でした。
『この世をば』は、そんな道長と彼の正妻となる源倫子が結婚する時期から始まります。
本作のいいところは、「丁寧に説明をしてくれる」ところです。
例えば、本文のいたるところに相関図が挟まれています。
平安時代中期、上位貴族のほとんどが藤原か源です。新たな登場人物が増えるたび、「もう勘弁してくれ……」と思いますが、相関図があることで頭を整理しながら読むことができます。
また、図だけでなく文章でも、当時の事柄を現代のものに置き換えて説明してくれています。
例えば、当時の階級を説明する際に、「四位は社員、三位は取締役のようなもの」と説明されており、「四位から三位に昇格することは、大変なことなんだなあ」と想像することができます。
歴史小説ではありますが、会話文のテンポが良く、カタカナも躊躇なく使われているため読みやすい作品だと思います。
社会科の授業でみなさん習ったであろう藤原道長。生身の人間としての彼を感じられる名作です。
「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも 無しと思へば」
という和歌を詠んだことで知られる、藤原道長の生涯を描いた歴史小説です。
著者は、『炎環』で第52回直木三十五賞を受賞した永井路子先生。
和歌の影響から傲慢と思われがちな道長を、「ただ運が良かっただけの平凡児」として描きました。
作中の道長はおっとりした性格で、2024年大河ドラマ「光る君へ」で描かれている道長も本作に近いように感じます。
道長は、父・兼家と正妻との間に生まれた三男坊。二人の兄や、天皇の子を産み国母となった姉と違って、出世欲もなく、ただ流されるように生きている青年でした。
『この世をば』は、そんな道長と彼の正妻となる源倫子が結婚する時期から始まります。
本作のいいところは、「丁寧に説明をしてくれる」ところです。
例えば、本文のいたるところに相関図が挟まれています。
平安時代中期、上位貴族のほとんどが藤原か源です。新たな登場人物が増えるたび、「もう勘弁してくれ……」と思いますが、相関図があることで頭を整理しながら読むことができます。
また、図だけでなく文章でも、当時の事柄を現代のものに置き換えて説明してくれています。
例えば、当時の階級を説明する際に、「四位は社員、三位は取締役のようなもの」と説明されており、「四位から三位に昇格することは、大変なことなんだなあ」と想像することができます。
歴史小説ではありますが、会話文のテンポが良く、カタカナも躊躇なく使われているため読みやすい作品だと思います。
社会科の授業でみなさん習ったであろう藤原道長。生身の人間としての彼を感じられる名作です。