今回は、周木律さんの小説『眼球堂の殺人 ~The Book~』を読んだ感想を綴っていきます!
基本情報
著者:周木律
【作品名】眼球堂の殺人 〜The Book〜
【作家】周木律
【出版社】講談社(講談社ノベルズ)
【冊数】全1冊
【ステータス】完結済み
【初版発行日】2013年4月3日
【ジャンル】ミステリ小説
『眼球堂の殺人 ~The Book~』は、「堂」シリーズの記念すべき第1作目です!
作者の周木律さんは、この作品で2013年に第47回メフィスト賞を受賞し、小説家デビューされています。
1年半の間に、9作もメフィスト賞に応募したというのだから、その情熱に敬服します!
あらすじ
天才数学者である十和田 只人(とわだ ただひと)は、世界中を放浪し研究を続けながら、神の書・”The Book”を探し求める変わり者。
そんな彼をストーカー追いかけ続けている駆け出しのルポライター・陸奥 藍子(むつ あいこ)の視点で物語は進んでいきます。
2人は、世界を代表する狂気の天才建築学者・驫木 煬(とどろき よう)の邸宅「眼球堂」を訪れます。
山奥に建てられた奇怪な家に集う、各界の天才たち。閉ざされた館に天才たちが集まってしまったら、そりゃあ、事件が起きますよね。
理系ミステリとも言える本作ですが、密室、館、探偵役、どんでん返しまである、本格ミステリ作品です!
感想(ネタバレあり)
※以降は、ネタバレありの感想を書いております。未読の方でお話の内容を知りたくないという方は、こちらでUターンをお願いいたします!
バスのシーンから始まる本作。読み始めてすぐ、「あ、また天才と変人は紙一重タイプの人きた〜」と思いました。そして、助手代わりの陸奥さん。
お決まりパターンではありますが、館もの・探偵ものとくれば、むしろそういうものを求めにいってすらいますから、納得してすぐ物語に入っていくことができました。
「理系ミステリ」という前情報を得ていましたが、なるほど。確かに、理系要素の多いこと。しかし、すべてを理解できなくても、物語を読む上では問題ありません。理解できたら面白いんでしょうけどね。
お決まりのパターンも、理系の単語も、特に気にせず読み進めていましたが、1点、何度も出てくる「真実――」という記述には引っ掛かりを覚えていました。それが、最後の最後にああやって回収されるとは!
陸奥、いや、善知鳥(うとう)……。一応、犯人を推理しながら読んではいたのですが、まんまと周木先生にしてやられました。善知鳥、最後まで出てこないなとは思っていましたが、まさか。
女性の天才、というと、S&Mシリーズの真賀田四季博士を思い出しますね。
途中までずっと、使用人の深浦(ふかうら)が怪しいと思っていたんですよね。過去に色々あったみたいだし、こんな山奥に住み込みで働くなんて訳ありだし。招待した側の人間だし。
でも、まんまとミスリードにやられてしまいましたね。やはりミステリ作家の方はすごい。
十和田のネガティブなところが結構好きでした。自己評価が低いというか。これも、神の書・The Bookという完璧を追い求めているからなんでしょうが。
トリック――特に、硝子体に当たる部分に水を張るトリック――は、大胆ですね! 眼球堂を実際に建設することは不可能ということですが、映像化がもしできたら、暗闇の中を泳ぐ犯人の姿を見たい気がしました(笑)
「堂」シリーズは、第7作で完結しているとのこと。まだ、後続作品は読めていないため、今後も、十和田の活躍を追いたいと思いました。善知鳥もまた出てくるのかしら。
2022年9月4日(日)読了。
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